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いわば本格サスペンス。傑作です
今更といえば余りに今更ですが、本書を読み終えて「これぞ本物のサスペンス小説」という思いがこみ上げてきました。僕自身、宮部氏の実力を読み誤っていたという気もします。クレジットカードが作れないことをきっかけに失踪した女性を追って、細かな手がかりを手繰り寄せて真実にいたる道程がなぜこんなに面白いのか。派手な展開こそ無いものの、無駄のない展開で、例えは変かも知れませんが、到底登れないと思っていた山に着実に登っていく快感がありました。血肉の通った人物の描写も見事です。 物語のテーマはクレジットカード・ローン破産の悲惨さとその「日常性」。約15年前の作品なので、やや時代設定が古くなってしまってますが、誰もがつまづく可能性があるローン・クレジットの罠が描かれています。僕自身、社会人になりたての頃に背伸びして車をローンで買った経験がありますが、とにかく毎月の固定費が増える息苦しさというのは独特の苦しさがあります。「軽い気持ちで組んだローンが日々の生活に暗い影を落とす」--先ごろ利息のグレーゾーンが話題になり規制が強化されましたが、まさに今の社会に相応しいテーマと言え、身近で興味がつきません。 毎度おなじみWiki参照の知識で恐縮ですが、サスペンス=読者の不安感を煽るものと簡単な説明があります。そういう意味では、このジャンルのど真ん中に位置するのではないでしょうか。ミステリーに本格ミステリーというジャンルがありますが、これはまさしく、奇抜な手やホラー要素のない本格サスペンスです。関西人の僕には、大阪や三重の風景が楽しかったです。余談になりますが、物語のキーワードの一つのあの建物も近年なくなってしまいました。バブル直後の時代感も懐かしい限りです。 最後になりますが、この作品を贈ってくださったyurinippoさん(おうちしごと日報)に謹んでお礼を申し上げます。率直に言って「新たな金鉱(宮部金鉱)を見つけた!」気分です。本当にありがとうございました。宮部作品はほとんど読んでいないので、有名どころからたどってみようと思います。 <火車>AMAZON 読書ノート評価:88点 短評:所々にゲームの描写があって、その的確さに笑いました。さすが当代きってのゲーマー作家です。また、このブログを書いていて本当に良かった、と思いました。自分ひとりでは読書の幅はあまり広がりませんので。 #
by kyura130
| 2007-01-28 17:16
| 小説/読物
面白さの質が変質
ブログ開設後、ちょうど100作目の紹介はやはりというか「グインサーガ」の第111巻「タイスの魔剣士」です。最近「グインサーガ」は、ほとんど2ヶ月に1冊のペースで出版されているので、キリ番(きりのいい番号)になる確率は一番高いと思ってましたが、週間漫画のコミックスより早いペースで刊行されている事実は驚異的です。 一読して、非常に面白かったのですが、何だか釈然としない気持ちが残ります。それはなぜか? 恐らく、僕が期待する面白さと作者が提供する面白さの質がズレているからです。今回は作者いわく「少年ジャンプ」だそうで、補足すると「天下一武道会(ドラゴンボール)」です。無名の戦士(と偽装している主人公・実は王様で超戦士)が闘技場で強敵を次々ねじ伏せていく展開です。 僕なりの理解では、グインサーガの面白さは、長大な物語の中で変転する登場人物の運命の行方だと思っているのですが、ここ最近は非常に刹那的というか、もっとはっきり言えば「思いつき」な感じがします。「面白かったんだから、四の五の言うな」と言われるとそうなのですが、そういう「面白さ」を作者は求めていたのか? と、しばし悩んでしまいます。どうも肩の力を抜いて楽に書いているようにしか思えません。 実は、この「天下一武道会」的展開は、過去にも同じ展開があります。その時は、豹の頭を持つ異形の戦士が一国の王に成り上がって行くために必要な展開で、非常に楽しいエピソードでした。ただ、今回はさっさとここを飛ばしてもあまり支障がないように思うので、明らかに寄り道です。作者が自分の作ったパターンを繰り返すのは、悪いことばかりではありません。しかし……。 こういう釈然としない思いを飲み込みながら、ますます先が見えないグインサーガ。完結したら一巻から読み直そうと思ってますが、果たして、その日は来るのでしょうか? <タイスの魔剣士・グイン・サーガ111>AMAZON 読書ノート評価:55点 短評:何度も書いてますが、20巻ぐらいまでは本当に重厚な小説でした。あえて言えば、最近の展開は、「いもたこなんきん(NHK朝ドラ)」みたいです。 #
by kyura130
| 2007-01-25 19:22
| 小説/読物
この世はこの手の怨念だらけでは
atomさん「テレビゲームあれこれ日記」に頂いた一冊で、ジャンルはホラー・サスペンス。最近はっきりと自覚するようになりましたが、僕はこのホラー・サスペンスというジャンルがかなり好きです。生来の怖いもの見たさ的性格というか、ホラーだけならむしろ嫌いなのですが、サスペンスがつくと途端にのめりこんでしまいます。 本作品の大筋は、古典的な怨念モノのプロットをたどります。但し、道具立ては、「変死した女流画家が書いた絵の謎」「その謎を追った人間はことごとく発狂」、そして行き着く「村人が消えた村」と、まさにサスペンス好きのツボをつく魅力的なもの。特に「過去の惨劇」の設定には無条件に反応してしまいます。と、言うわけで、謎解きがされる後半まで、ワクワクして読みました。 一方、キャラクターの造形は非常に個性的でした。何しろ主役の二人が、32歳の美少年専門イラストレーターと、禿げ気味で太ったエロ&バイオレンスを得意とする流行作家という設定です。あえて言えば、普通は絶対ありえないアンチ・ヒーロー像です。作者の他の作品は知りませんが、この辺に強いこだわりがあるのでしょうか。ユニークすぎて共感はできませんが、とにかく「ありきたりでない」という点を評価したいと思います。 個人的な難点は、作者の恋愛観が生々しすぎることです。現実にはあるのかもしれませんが、男性側から見ると、女性の身も蓋もない述懐はちょっと辛いものがあります。男性の場合、どうしても根幹で女性を女神化している部分があるので、こちらの方がリアルなのですが、もう少し、美しく書いてあげて欲しかった。 物語の肝であるネタには、賛否両論があるかもしれませんが、サスペンスはミステリーと違い、種明かしまでの過程が楽しいもの。そういう意味では十分楽しめる作品です。文章の読みやすさも大きなプラス点。とにかく最後まで読ませるパワーは感じました。 <神鳥―イビス>AMAZON 読書ノート評価:60点 短評:この本に出てくる女性画家がフィクションなのが残念。絵が頭に浮かぶだけに、実際に見てみたかった。表題の意味は本を読めばお分かり頂けると思います。ニホンオオカミやリョコウバト、ドードーでも書けそうです。 謝辞・陳謝:atomさん面白いサスペンスをありがとうございました。そして、間違えて本当にごめんなさい。 #
by kyura130
| 2007-01-23 00:31
| 小説/読物
自分のギャグセンスのベース
冗談を全く言わない人はいないと思いますが、駄洒落にしろ、若手芸人のネタにしろ、父親の影響にしろ、何かしらその人特有の冗談のパターンがあり、その元となったものもあるはずです。大抵、いくつかの「お笑いの素」が長い時間をかけて煮込まれ、その人特有の「下らない話」になっているのではないでしょうか。心底どうでもいい話ですが、この「パタリロ!」にこち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)とドリフターズのコントの3つが僕のギャグセンスのベースです。はい。 「パタリロ!」は非常にベタなお笑いと、きちんと落ちのつくストーリー展開(特に初期は切れのある物語が多い)、そして、男性の同性愛が大胆に語られるという点が特徴で、西洋浮世絵風と呼ばれる平面的で独特な絵柄も相まって、一度見ると忘れられないインパクトがあります。今の少年少女は知らないかもしれませんが、絵柄もストーリーも忠実にアニメ化もされており、こちらも非常にいい出来です。 ただ、僕の印象では「パタリロ!」は第17巻辺りから物語性が薄れるというか、パタリロの毒が強くなりすぎてくると言うか、その辺で違和感を感じて脱落しました。45巻や60巻なども散発的で買って読んだこともありますが、やはり初期に比べると苦味が増してきている気がします。どちらにしても、79巻も刊行されていること自体、凄いことだと思いますが。 僕の好きな話は初期に限られますが「化学騒動」や「パタリロ8世と10世」、「旅立てジャック」などでしょうか。いつもの調子で大真面目に語っていますが、要はいい意味のアホ漫画ですので、肩の力を抜いて、ダラダラ読むのが正しい接し方と言えるでしょう。そして、パタリロのクックロビン音頭が出たら、心の中でバンコランと一緒に踊るのが正しい読書スタイルです。 ちなみに同じ作者の「妖怪始末人トラウマ」や「ラシャーヌ」などもお薦めです。でも、嫌いな人は1Pも受け付けないと思われるであろうこの作品、皆さんはどうでしょうか。 <パタリロ! (1)>AMAZON 読書ノート評価:70点(ベタなギャグが好きな人なら) 短評:あと、僕のギャグベースはさだまさしのMCや鳥山明、ダウンタンやいがらしみきおの漫画など、自分で書いていて「この人の冗談はできれば聞きたくない」と思えるようなミックス具合です。冗談を言うのは大好きですが……。 #
by kyura130
| 2007-01-16 22:15
| コミック
伊坂氏の持ち味がさらに熟成
「オーデュボンの祈り」「ラッシュライフ」に続く伊坂氏の第3作であり、順を追って読んでいるので僕もこれが伊坂作品の3作目となります。昨年映画化もされたので結構メジャーな作品だと思いますが、タイトル通り4人(+2)の陽気な銀行強盗の襲撃とその顛末が描かれています。 これまで伊坂氏の作品を読んで感じた特徴は、(1)軽妙・洒脱な会話劇、(2)物語のラストで伏線が一気に収束、(3)登場人物が一部現実離れした個性を持つ、(4)作品の相互リンク、(5)物語に含まれる寓話性、(6)確信犯的に衒学趣味な所がある、などです。本作品では、特に(1)の会話劇が抜きん出ていたと感じました。「難しく考えずに主人公たちの会話を楽しんでください」という伊坂氏のスタイルが良くわかりました。 逆に言えば、伏線の収束や物語の意外性では、前作・前々作の方が複雑でした。どちらがいいと言うことは一概に言えませんが、作品が進むにつれて、より読み口がマイルドになっており、僕は伊坂「ワールド」と称される作者の世界観がより明確になってきていると思いました。作品の登場人物や事件が相互にリンクしているのは、京極夏彦氏の「京極堂シリーズ」にも似て、作を追うごとに読者側に世界観が蓄積されるので、より深くハマれるという仕組みも好みです。 本作には、人の嘘を見抜く名人「人間嘘発見器」こと成瀬という冷静沈着で知的なキャラクターが登場するのですが、これに弁舌の名人、陽気なスリの達人の3人を合わせて、伊坂氏の理想の男性像が現れていると思いました。「真剣にふざける」という価値観が貫かれていて、好き嫌いはあると思いますが、僕も徐々に伊坂ワールドの住人化してきています。次の「重力ピエロ」も楽しみです。 ※本作品は、yurinippoさん(おうちしごと日報)より頂きました。楽しい読書タイムを本当にありがとうございました。 <陽気なギャングが地球を回す>AMAZON 読書ノート評価:73点 短評:途中、ちょっとしたアクションシーンもあるんですが、ここが痛快で好きです。現実だったら結構シリアスな問題だと思いますが。 #
by kyura130
| 2007-01-13 23:40
| 小説/読物
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