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新旧小説とコミック・ゲームのレビュー。参考点数付。
by kyura130 カテゴリ
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本当に読むべき数少ない本の一冊今の世の中には、大小様々な絶望が溢れています。 「どんなに努力しても才能のある人間には敵わない」「人間には幸・不幸があって、運命には抗うことなどできない」「しょせん人間は利己的な存在であって<愛>なんて弱者のたわごとだ」「負け組はとっとと姿を消した方が世の中の為だ」「誰も信用できない。自分自身でさえも」 後は絶望して、自暴自棄になるか、自殺するしかないのでしょうか? 「夜と霧(新版)」は、アウシュビッツなどの強制収容所での体験を、心理学者の目を通して、極めて冷静に、客観的に記録した体験記です。強制収容所といえば、すぐに「アンネの日記」や映画「シンドラーのリスト」が思い浮かびますが、僕自身は、実は戦争物が大変苦手で、この二つを初め、ほとんど観たり読んだりしていません。アニメの「火垂るの墓」でさえ、吐き気がして観れない位です。 そんな僕が、ある先生の薦めから手に取ったこの一冊は実に衝撃的な一冊でした。内容的には、目を覆いたくなるシーンもありますが、実に静かな文章でいたずらに高ぶったりはしません。澄んだ清涼な言葉で、淡々と強制収容所での体験が記されているだけです。では、何に深い感銘を受けたかといえば、究極の絶望的状態である収容所の中で、人間として生きる価値、その意味が確かに存在することを僕自身が「実感」できたことです。 これまで幾多の美しい物語、感動的な物語を読みましたが、ここまで魂を揺さぶられる書物はありませんでした。人には、その時期その時に読んだからこそ、大きなインパクトを感じる書物があり、僕にとってこの作品がそうであったのかも知れません。しかし、少しでも心の中に闇があるなら、損をすることはないと思います。以下は、僕が最も感動した一節です。 ~最後の瞬間まで、だれも奪うことのできない人間の精神的自由は、彼が最後の息をひきとるまで、その生を意味深いものにした。なぜなら、仕事に真価を発揮できる行動的な生や、安逸な生や、美や芸術や自然をたっぷりと味わう機会に恵まれた生だけに意味があるのではないからだ。そうではなく、強制収容所での生のような、仕事に真価を発揮する機会も、体験に値すべきことを体験する機会も皆無の生にも、意味はあるのだ。(112P) この本には、絶望を覆すことができる、誰もが持っている人間の確かな力がはっきりと記されています。 読書ノート評価:95点 短評:僕にとっては「家中の本棚の本と引き換えにしても」手元に欲しい一冊です。 補則:旧版も読みましたが、より読みやすい新版がお薦めです。 < 前のページ次のページ >
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